1.量分数概念の(再)学習について、昨年度に実施した調査の結果等をともに、小学校4年生を対象として実験授業を実施した。その結果、長さが2mのテープ図について例えば1/3mを図示するといった課題を用いた学級では従来から指摘されてきたような混乱が生起したが、延長性を示唆し単位量を強調した数直線の図について例えば1/3を図示するといった課題を用いた学級では、前者の学級にみられたような大きな混乱は生起しなかった.このことから、量分数概念の(再)学習すなわち量分数の正概念の確立に対しては、後者のような課題が有効であることが推測された。 2.周長と面積との混同の問題について、転移の観点からさらに検討を加えた。特に、状況とそこにおける活動が同相である場合には転移が生起するとする観点の優位性が示唆された。 3.これらの事例から、状況とそこにおける活動のありようが概念形成や概念変容に大きく関与していることが示された。今後は、概念形成や概念変容に有効であると考えられる状況と活動のありようについて、いくつかの具体事例をもとにさらに検討を行う予定である。
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