平成10年度は、大分県下の小学校及び中学校教員を対象とし質問票による調査を実施した。質問票は主として「体育科教育に対する期待」「体育で目指す子ども像(教育目標)」「教育内容」「評価」「小学校から中学校への要望」「中学校から小学校への要望」等で構成した。調査対象については、小学校は県下396校より学校規模・地域等を勘案して100校を抽出し86校(583名)からの回答を得た。中学校については、県下の全学校(158校)を対象として実施し136校(337名)からの回答を得た。調査結果は、性、校種、担当学年、学校規模別等に統計処理を行った。以上の結果、研究目的である「体育科における小・中学校一貫を目指した教育課程」モデル作成上貴重な示唆を得ることができた。以下にその一部を述べる。 体育科教育に期待する内容では、小学校は「他者とのふれあいを広げる」「体力づくり」に50%以上の者が強く期待するとしており、中学校はこれらとともに「集団行動力の育成」「身体や運動についての認識を深める」「安全への理解」「体力・健康づくりの知識や方法の理解」に60%以上の者か強く期待するとしている。また、小から中学校への要望としては、「運動の楽しさを味合わせて欲しい」「個性をみつけ伸ばして欲しい」「他者とふれあう力をつけて欲しい」「進んで活動できる力をつけて欲しい」等があげられ、中から小学校へは「運動の楽しさを味合わせておいて欲しい」「基本的な運動能力を身に付けさせておいて欲しい」「進んで活動できる力をつけおいて欲しい」「ルールを守って行動したり、協力して活動するなどの社会的態度を身につけておいて欲しい」等かあげられた。これらの結果を基に、体育科に固有の課題とその達成を支える条件とを峻別し、児童期から少年期への発達を見越して連続的・一貫的な目標・内容を設定することが必要である。
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