1.難易に関わる要因 (1)かけ算:かけ算九九は、被乗数や乗数が大きくなるにつれて難しく、5を含む問題は易しいことが示された。筆算は、答の桁、繰り上がりの有無と回数、0の有無・数・位置・部分積の型、かけ算九九と1桁たし算の難易が関係していた。 (2)たし算:1桁たし算は、被加数や加数が大きくなるにつれて難しく、5を含む問題、被加数と加数が同数の場合は易しく、4は数の大きさのわりに難しいことが示された。筆算は、被加数・加数の桁、繰り上がりの有無と回数、0の有無・数・位置が関係していた。 (3)ひき算:答が1桁になるひき算は、繰り下がりがない場合、被減数、減数、答が0、5、10である問題は易しく、被減数が大きい(10を除く)、または減数や答の大きさが中程度(5を除く)の問題は難しいことが示された。繰り下がりがある場合は、減数の大きい問題が難しかった。筆算は、減数・答の桁、繰り下がりの有無・位置・回数、0の有無・数・位置が関係していた。 (4)わり算:筆算の難易に関わる要因は、基本操作の型、余りの有無、繰り上がりの有無と型、繰り下がりの有無と型、ゼロの現れ方とその扱い、丸めの型と修正回数であった。 2.筆算問題の類型化と難易の構造化 各筆算について難易に関わる要因を基準に全問題を類型化し一覧表を作成した。更に、問題に含まれる難易の性質、難易差などの構造が理解できる図を作成した。 3.教材の作成 2で得た全類型について、子どもが学習するための具体的問題を一定数生成した。 4.教授支援システムの開発 教授支援システムのプログラムを作成した。このシステムは初期画面で問題形態を選択する。第2画面では2で作成した図を画像提示し、類型化した全タイプの問題とそれらの難易構造の理解を可能にする。更に、3で生成した各タイプの問題をプログラムに加え、ある型の問題の提示、印刷、任意の問題の性質を知ることができる。
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