研究概要 |
本研究は青少年の薬物乱用や飲酒、喫煙等の行動と彼らの社会規範意識が薬物乱用等へ及ぼす影響と、その重要性を探ること及びその結果をもとに社会規範意識を据えた薬物乱用等防止教育プログラムの枠組み作りを目的とした。 中高校生を対象とした薬物乱用、飲酒行動と社会規範意識の関連についての調査はすでに終了しており、今年度は回答を得ている中学生866名、高校生2018名のデータの分析を行った。また平成10年度末に米国カリフォルニア州を訪れ、高校における薬物乱用防止の授業を見学するとともにスクール・ディストリクト事務所の健康教育担当者から地区に於ける薬物乱用等防止教育のカリキュラム資料等を入手し分析、検討を加えた。 わが国の中高校生の喫煙飲酒薬物乱用の行動についてみると、飲酒の経験は中高校生ともに高く、「ここ一ヶ月以内の経験」でも18.4%,29.9%(中/高校)と高い。将来予測でも「飲まないでいられない」としたものが35.2%,48.6%(中/高校)であった。喫煙では常習的な「ここ一ヶ月以内の経験」で4.2%,15.0%(中/高校)であった。高校男子に限れば22.2%と高い。薬物の関連ではシンナー遊びが高く2.8%,2.1%(中/高校)を示した。大麻、覚醒剤などは中・高校生には入手も困難かとも思われるが、若干の「経験あり」の回答があった。 これらの行動及びその将来予測には関連が認められており、薬物乱用等防止教育に社会規範意識が含まれることが有用であることが示唆された。また、米国の代表的な健康教育のフレームワークでも友人、家庭、地域の連携を含めて活動し、有害性を知らしめ、「使わない」のメッセージを送り続けることが重要だと指摘している。
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