本研究は現代乳幼児の描画行動と先行研究の描画表現の発達過程と比較検討することが主な目的であった。乳幼児の描画表現の発達は、身体的言語的など種々の発達と同様に成育する環境に大きく影響を受ける。そのことに着目し現代乳幼児の描画行動の現状を調査し、検証を試みた。 その調査検証するにあたり、今日的ツールとしてコンピュータを活用する試みも同時に行った。 描画作品をデジタル画像として収集すること 乳幼児の描画作品をデジタル画像として収集することは検証する作業効率を高めることになると考えた。デジタルカメラによる作品の撮影を行い、作品画像ファイルとしてコンビュータに保存した。現在収集保存している作品の累計は約20000点に及んでいる。 さらに、作品を描いた乳幼児の氏名・生年月日・性別・描画した日(描画したときの年齢)・タイトル・乳幼児のコメント(意味付けした言葉や内容)・描画材などを個人情報のファイルとして記録保存した。 2つのファイルをつなぎ合わせること すでに収めてある乳幼児の個人情報ファイルと作品画像ファイルとをつなげることを試みて概ねの成果が得られた。一人の幼児の描画を成長順(描画順)に並べて表記したり印刷できることは可能になったが、指定した生育年齢に描いた画像を取り出すことや作品を分類し比較検討できる環境づくりなどに主力をおいてソフトを調整した。作品画像にひとつずつその作者の幼児名を付記しておくことの大変さ、ひとつづつの作品を観て描画特性を入力していく行程は時間的にも肉体的にもかなりの負担がかかった。この入力方法を正確かつ簡素化できるよう新たな物理的環境を構築することが今後の研究になると考えている。 現在成長順(描画順)に並べて表記したり、生育年齢を特定し描画作品を検索するなど現代乳幼児の描画表現の実態と先行研究とを比較検討し、まとまりつつある。しかし、パソコン上では可能でも印刷する事にかなりの時間を必要としているのが現状である。
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