日本語母語話者12名および日本語学習者20名の、母語話者インタビュアーとの丁寧体ベースの会話のデータ(計283分)をもとに、母語話者と学習者の用いる文体のスピーチレベルとレベルシフトの様態がどのように違うかを調べた。その結果、次のことが明らかになった。 1.平均的には学習者の方が非丁寧体の発話末形式の使用率が高い。 2.母語話者では終助詞「ね/よ」が付いた丁寧体の発話が全体の半数以上を占めている。一方、学習者では、その種の発話は30%に満たない。 3.母語話者では終助詞「ね/よ」が付いた非丁寧体の発話は皆無であったが、学習者では少数見られた。 4.スピーチレベルシフトの要因として、a定型的省略、b反復回避、c中途終了、d中断、e呼応、f確認、g独話、h適語探索の8つの要因が認められた。 5.a、c、gの要因によるレベルシフトは母語話者で、f、hによるレベルシフトは学習者で出現率が高い。 6.学習者のレベルシフトでは、上記の8要因によらない例が半数近くある。その発話末形式の多くは自立語と引用止めである。
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