研究課題/領域番号 |
10680304
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桐谷 滋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90010032)
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研究分担者 |
御園生 保子 東京農工大学, 留学生センター, 助教授 (00209777)
河野 守夫 神戸海星女子学院大学, 文学部, 教授 (20073364)
新美 成二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00010273)
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キーワード | 日本語学習者 / モーラリズム / 弁別実験 / 同定実験 / 長・短母音 / 知覚単位 |
研究概要 |
多くの日本語学習者にとって日本語モーラリズムは習得困難なものであるが、その解決には学習者の母語のリズム特性と、日本語学習時の母語干渉の特性の研究が不可欠である。本研究では外国人日本語学習者の音声生成、知覚について定量的検討を行う。又、そのような学習過程における音声知覚の分析的処理機構と、全体的処理機構の干渉の特性を検討する。 多くの外国語話者は母語に長・短母音の区別がないため、日本語の長・短母音の識別が困難である。外国語の音韻習得の困難性は、これまで主に母語に類似したカテゴリーがあるか否か議論されることが多かった。しかしこのようなカテゴリーの有無以外に、音韻のカテゴリー形成に個々の言語に応じた特殊な要因が関与しておりそのために、習得が困難になることもあると考えられる。 本研究では日本語話者と長・短母音のカテゴリーを持たない韓国語話者について、上述のような母音長の知覚特性を、詳細に比較検討した。その結果、弁別実験における長さの知覚では日本語話者、韓国語話者に共通した一般的な高さ、強さの影響を受けていると考えられる。これに対し日本語話者の長・短母音の同定では物理的な長さのみで決まるカテゴリー境界を持っていてそれに基づき長さの判断をしていると考えられた。 一方、分析的音声処理機構と全体的音声処理機構は階層構造については、日本語の音韻特徴を他の国語の音声から区別して知覚する方法を確立するのは分析的音声処理機構であり、それが確立した成人では外国語、例えば(r/l)の区別が困難になる。何らかの原因で分析的音声処理機構の規制がゆるむと、全体的音声処理機構の知覚が自然に復活すると予想される。このことを検討するために言語障害者にr/lの弁別実験をおこなったところ正常者より高成績を示すことが確認された。
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