研究概要 |
日本語を第一言語としない年少者の受け入れを円滑に進めることは,それら当事者の十全な発達を保障するためにも,日本社会が現在直面していて,今後さらに求められる「多文化共生」を進めるためにも必要不可欠のことと認識している。本調査研究は,その方策を考えるために,それぞれの地域や個々の取り組み事例を収集し,分析することを主眼としている。 今年度の調査研究では,大阪地域を中心に,先進的な取り組みを行っている地域を訪問し関係者から情報を収集することを続けてきた。それは,日々連携をとってともに実践活動を行っている大阪府池田市や豊中市の学校現場等だけでなく,大阪府在日外国人教育研究協議会事務局,大阪市在日外国人教育研究協議会,大阪府立学校在日外国人教育研究会(府立高校教員の研究会),大阪府八尾市在日外国人教育研究会,大阪市立中央図書館,大阪府羽曳野市高鷲南中学校などの訪問を行った。このような大阪大学近隣地域関係機関への情報収集とあわせて,日系ブラジル人の集住地域である広島県深安郡神辺町立神辺小学校や群馬県太田市立沢野小学校への訪問取材を行った。 これらの情報収集で得られたものは少なくなかった。これらの情報についての分析はこれからのことではあるが,それぞれの機関の関係者のほとんどから得られ共通しているものがある。それは,いわゆる「学習言語」としての日本語の習得の難しさと,日本社会での子どもたちの学校への適応の難しさというものであった。 これまでの情報集での感触の域を超えないが,子どもたちの第一言語での対応こそ求められてるとの感触をつかんだことは,言及しておきたい。今後,さらに調査研究を通して,このことを検証していきたいと考える。
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