1 データ収集および入力 (1) 先ず、予備調査として、テレビのインタビュー番組[徹子の部屋」およびラジオのインタビュー番組「ラジオ談話室」をテープに録音録画し、そこで行なわれている会話を10件、文字化して入力した.この文宇化されたデータを分析した結果、話者は明らかに対話者の社会的地位、年齢、性別に応じてスタイルのレベルを設定し、そのレベル内で様々のポライトネス・ストラテジーを用いながら、対話者との会話を成功させようとしていることが明らかになった. (2) (1)の調査を踏まえて、日本人が実際の会話で相手の地位、年齢、性別に応じてどのようなスタイル交替を行なっているかを調査するため、6名の話者(医師、大学教師、小学校教諭、大学職員)に社会的地位、年齢、性別の異なる数名の人物との対話を録音してもらった. (3) 次に、録音されたテープを研究補助員4名に文字化してもらった.この最初の文字化資料にはミスが数多くあり、また表記の統一が守られていないこともあるため、松村・因が資料の修正、書式統一を行なって文字化資料を完成させた.文字化にあたっては宇佐見(1996)を参考にさせてもらった. 2 データ分析結果と今後の研究課題 データを分析した結果、日本人会話における敬語行動はBrown & Levinson(1987)では十分には記述できないことが分かった(松村(1999)参照).今後は日本のように上下関係を前提とした社会における敬語行動の原則を考察し、それを日本語学習者がどの位理解しているか調査し、指導法を考案していく.
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