研究概要 |
適応アルゴリズムとは、個別データの特徴を調べて、それに適したアルゴリズムを適用することにより、問題解決の時間を短縮しようとするものである。例えば、数を昇順あるいは降順に並べ変える整列問題に対してはほとんど整理されたデータにはマージソートを適用し、まったく整列されていないデータにはクイックソートを適用する、というような整列のしかたのことである。 本研究は、このような問題意識に基づき、適応アルゴリズムへの応用を意識しながら、アルゴリズムの記述形式、双線形計画問題との関連、並列アルゴリズムとの関連、などについて、研究した。特に、整列問題との関連で、整列度の新しい定義を考案し、その定義による整列度と既存の整列アルゴリズムの相性を研究した。 本研究と並行して,整列の新しいアルゴリズム(内部マージソート)の計算複雑度を調べた。さらに、従来のマージソートと本研究による内部マージソートの平均実行時間を,筆者独自の方法で理論解析し,今まで知られていなかった結果を得た.また、内部マージソートが不得意とするデータとはどのようなものであるのかも明らかにすることができた。実際に、既存のアルゴリズムとの比較を、コンピュータ上で実行してみた。その結果、内部マージソートは、単純選択法,挿入法などとは計算時間のオーダーが低い(したがって、著しく高速である)ことが確認された。
|