研究概要 |
本年度は科学研究費「計算機科学における下界の研究」の2年目である。本研究の目的は、計算機科学における下界をさまざまな視点から検討し、求めることである。 下界を求めるための理論的研究は、"Minimum number of comparators in(6,6)-merging network"(IEICE Trans.Inf.&Syst.E83-D)が掲載され、(6,6)-マージングネットワークの下界を明らかにした。また、マージングネットワークに関して別の下界を求めた論文が現在投稿中である。コンピュータで計算することにより、下界を求めるためのアルゴリズムを設計する研究については、"有向非閉路グラフに矛盾しない順列の数を求めるアルゴリズム"(京大数解研講究録、掲載予定)を発表し、ソートの比較回数の下界を計算するためのアルゴリズムの一部を考案した。 研究分担者の笠井は、Spine grammarを定義し、線形プッシュダウン木オートマトンにより受理される木言語のクラスはSpine grammarにより生成される木言語のクラスと一致することを示した("Spinal-formed context-free grammars",Theory of Comput.Syst.33)。武永はブール関数のOBDDに基づくtree-shellable可能性について調べた("Checking ordered tree-shellability of boolean functions based on OBDDs",信学技法)。また蓮沼は、de Bruijn有向グラフの分解に関する性質を明らかにした("Isomorphic factorization of de Bruijn digraphs",Discrete Math.,掲載予定)。これら研究分担者による研究成果は、本研究をするめるための基礎研究であり、次年度以降の研究に応用する。
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