研究概要 |
本年度は科学研究費「計算機科学における下界の研究」の3年目である。本研究の目的は、計算機科学における下界をさまざまな視点から検討し、求めることである。 本年度の研究成果として、マージングネットワークに関する下界を求めた論文"Lower bounds for merging networks", Inform. and Comput.が掲載決定となった。これは、マージングネットワークの下界定理を証明し、(m, n)-マージングネットワークの最小比較器数を無限に多くの対(m, n)に対し与えた。このことにより25年間未解決であったYao and Yaoの問題も解決した。 また、与えられた一般化詰将棋が詰むかどうかを決定する一般化詰将棋問題が指数時間完全であることを証明し、この問題の下界が決定性指数時間であることを示した("一般化詰将棋問題の指数時間完全性",信学論,掲載決定)。 研究分担者の武永は、正負のブール関数例から最小の頂点からなるOBDDを見つける問題はNP完全であることを示した("ardness of Identifying the Minimum Ordered Binary" Decision Diagram", Discrete Applied Math.,107)。また、ブール関数のtree-shellable可能性について調べた("Tree-Shellability of Boolean Functions",Theoret. Comput.Sci.,掲載決定)。研究分担者の蓮沼は、de Bruijn有向グラフの分解に関する性質("Isomorphic factorization of de Bruijn digraphs",Discrete Math.,218)、少い深さの辺素な全域木の性質("0n edge-disjoint Spanning trees with small depths", Inform.Processing Lett.75)などを明らかにした。 これら研究分担者による研究成果は、本研究をすすめるための基礎研究であり、次年度の研究に応用する。
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