研究概要 |
(1) エージェントのための計算モデルの構築 並行計算に基づき,高度な計算パラダイムを有するエージェント計算系のための数学的計算モデルを構築した. (2) エージェント計算の論理的意味論に関する数学的基礎理論の確立 (1)で提案した計算モデルに対して,主に論理的意味論の立場から,以下の小項目に関する研究を実施し,その数学的基礎を確立させた. (2a) モデル検証のためのベースとなる様相論理体系の確立 協調的マルチエージェントを並行計算の枠組で記述し,その性質を検証しようとした場合,「場」という新しい空間的様相性が本質となる.以上を考慮し,この項目では,並行計算のモデル検証を行なうためのベースとなる様相論理体系を,時間と空間に関する2種類の様相を備えたマルチモーダルな論理体系として体系化し,その論理的性質を明らかにした.最初に,富樫と和泉が個別にそれぞれ並行計算(特にπ計算)およびマルチエージェントの観点から基盤となる論理体系を検討し,その後2つの体系を多角的に検討し,最終的には2つの体系を融合した論理体系を構築した. エージェントの論理的側面は,(a)動作的側面,(b)静的側面,および(c)公理的側面と密接に関係する.論理体系に関する諸性質を明らかにするため,並行計算の分野での「双模倣を主要概念とす等価性理論」と論理的側面の関係,及びタイプ付けなどの静的側面と論理的側面の関係を明らかにした.和泉が前者を,富樫が後者を担当した.
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