本研究では、基本的な問題に対する効率よい並列アルゴリズムの設計パラダイムの検討を行なった。まず、Proximate Points問題について、具体的に効率よい並列アルゴリズムの設計を行なった。Proximate Points問題とは、平面上にn個の点が与えられた時に、x軸上のある点から最も近い点となる点を全て見つける問題である。つまり、n個の点のボロノイ図とx軸の交差を求めることと対応する。 まず、Proximate Points問題に対して、並列計算機の基本モデルであるCRCW-PRAM上でO(log log n)時間n/log log nプロセッサの並列アルゴリズムを示した。このアルゴリズムを利用し、EREW-PRAM上で、O(logn)時間n/lognプロセッサの並列アルゴリズムを示した。さらに、これらの並列アルゴリズムを利用し、様々な問題が、効率よく解けることを示した。例えば、平面上にn個の点が与えられたときに、その凸包をO(log log n)時間n/log log nプロセッサで求められることを示した。同様に、このアルゴリズムを利用し、EREW-PRAM上で、O(log n)時間n/log nプロセッサの並列アルゴリズムを示した。また、√<n>×√<n>ピクセルの白黒画像が与えられたときに、最大空円(全ピクセルが白となる最大の円)、や、最大空多角形、ユークリッド距離変換なども同様の計算時間、プロセッサ台数で求められることを示した。
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