研究概要 |
光通信網をモデル化した固定ルーティングの耐故障性: 光通信網におけるWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式に対するグラフ理論的モデル化としてルーティングを含めた耐故障性を定量的に評価する固定ルーティングのモデルを拡張し,そのモデルのもとで以下の結果を得た. (a)平面3連結グラフに対して最適なルーティングの構築法を示した.従来,このモデルのもとで任意のk-連結グラフに対する最適なルーティングの構成法は示されている.しかいながら,この構成を行なうためには点数nがn/log_2n【greater than or equal】7k^3を満たさなければならず,k=3でさえnが2000点を越えなければこの条件を満足しない.本研究では平面グラフに限定しているが任意の平面3連結グラフに対して最適なルーティングの構成法を示している. (b)一般のk-連結グラフに対してルーティングテーブルのサイズが小さくなる最適なルーティングの構成法を示した.ATM網や光通信網においてはルーティングテーブルサイズを小さくすることは重要である.一般のn-点k-点連結グラフに対して,ルーティングテーブルサイズがO(k√<n>)でルートの総定義量がO(k^2n)となる最適なルーティングを示した.また,任意の2-連結グラフに対してルーティングテーブルのサイズがO(√<n>)でルートの総定義量がO(n√<n>)となる最適なルーティングを示した.この2連結グラフに用いた考えを拡張すると,任意のn-点k-点連結グラフに対してn【greater than or equal】k^3ならばルーティングテーブルのサイズがO(k√<n>)でルートの総定義量がO(k^2n√<n>)となる最適なルーティングを構成できる. 固定ルーティング構成のためのグラフの分割: 1.で定義された固定ルーティングにおいて、一般的な計算機網に対する耐故障性の高いルーティングを構成するためには、グラフのk-分割問題と呼ばれる計算機網に対するグラフの分割ができればよいことを筆者らは示した。グラフのyk-分割問題は(a)連結無向グラフG=(V,E)、(b)k個の異なる点a_1,...,a_k、(c)Σ^k_<i=1>n_i=|V|となるk個の自然数n_1,...,n_kととなる入力に対して、点集合Vの分割V_1,...,V_kで各V_iがa_iを含み、その要素数がn_iとなりV_iは連結グラフを誘導するものを求める問題である。この問題は一般にはNP完全であり、入力グラフがk-連結ならば必ず解が存在することが知られているがk=2,3の場合を除いて解を求める多項式時間のアルゴリズムは知られていない。固定ルーティングの構成のためにはグラフのk-分割問題をそのまま解く必要はなく、ここではグラフのk-分割問題を変形した問題を提案しそれらを解く多項式時間アルゴリズムを与え、固定ルーティング構成に利用できることを示した.
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