| 研究概要 |
デザインパターンは,オブジェクト指向ソフトウェアの構造や機能について,典型的に現われる特徴的な類型を抽出して解析し,アプリケーション独立な形で記述したものであり,設計ノウハウやシステム構造を部品として再利用することを,クラスより高い抽象度で促進する.その部品カタログ化と利用支援に向けた我々の取り組みの一環として,本研究ではデザインパターンからのソースコード生成の支援について,方式の確立と基本機構の構築を目指している.
我々はすでに,デザインパターンをその意味的構造を反映した形で記述する枠組として,文書構造化の国際標準規格であるSGMLに基づく形式を考案して成果をあげている.これを下敷きにして本年度は,第1に,SGML記述の枠組をソースコード生成に向けた形式的仕様という観点から深化させ,仕様記述形式として確立した.第2に,デザインパターン中の構造要素とソースコードの構造要素の対応,特に多重対応関係について,これを効率的に管理する機構を考案・設計した.第3に,デザインパターンと他の種類の部品との協調について考察を行った.以上の成果として,実際にデザインパターンからJavaプログラムおよびMakefileを生成するシステムを構築し,ソースコードを生成することに成功した.
本研究は,形式的仕様からのプログラム導出に関する従来からの研究に比べて,デザインパターンからの導出ならびにSGML仕様記述からの導出であるところに最大の特色を持つ.本年度以降は,生成されたソースコードの有機的なカタログ化,デザインパターンと他の種類の部品との統合化に向けて,さらに研究を進める.
|
