単調DNFの双対性判定に対するFredmanとKachiyanのn^<O(logn)>時間アルゴリズム(以下FKアルゴリズム)を多項式時間アルゴリズムに改良する可能性についてひきつづいて検討した。特別な場合として、入力のDNF対が単一交差性をもつときには、FKアルゴリズムの単純な変種の実行時間が多項式になることを見い出した。FKアルゴリズムの解析がタイトであることを示すGurvichとKachiyanの入力例(以下GK例)はこの単一交差性を持っているため、実はアルゴリズム自体の最悪例にはなっていないことが判明した。しかしながら、確率的な手法によってGK例と同様にFKアルゴリズムの解析のタイトさを示しかつ単一交差性を持たない例を作ることができることも示した。一方で、GK例の持つ、各変数の相対出現頻度が1/lognであるという性質を保持しつつ、項の数が変数の数の多項式になる例が存在するかどうかについて検討した。この答えが否定的である場合はアルゴリズムの改良につながる可能性がある。以上と同時に、2進キューブを通じてこの問題に関連したテーマとして、論理関数の特異最小項と必須主項の判定問題の複雑さについて、また部分マッチ問題の複雑さについての研究を行なった。
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