1 本年度は、素粒子物理学における超対称性理論の枠組みで使われるDirac代数の処理方法を確立し、最低次の場合と、1ループ補正の場合の行列要素を計算するためのプログラムを作成した。超対称性理論で現れる荷電共役変換オペレータの処理を取り扱い簡単なDirac代数の形にする前処理のプログラムを作成して、数式処理プログラムREDUCEの入力ソースコードを生成するプログラムを完成させた。Dirac代数自体の処理は、REDUCEで行っている。 2 最低次の場合には、Dirac代数自体を数値的に求めるという方法により、高エネルギー物理学で必要な超対称性理論を使った物理解析を共同で行った。現在1ループ補正の場合の物理解析を共同で進行中であると共にプログラムの検査を行っている。これらが完成すれば世界で初めて、超対称性理論における1ループ補正計算のためのプログラムとなる。 3 またREDUCEでは、処理時間を必要とすることがわかっており、他の数式処理プログラムについての調査が必要であった。このため数式処理プログラムMAPLEを購入し、Dirac代数の処理方法についてプログラム仕様についての考察を開始した。 4 来年度以降は、MAPLEを主に使用して式の簡約化についてのアルゴリズムを検討し、プログラム開発を進めていく予定である。またこのプログラムを使った物理解析も同時に進めていく。
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