1 昨年度素粒子物理学における超対称性理論の枠組みで使われるDirac代数の処理方法を確立し、REDUCEソースコード生成プログラムを使って、荷電ヒッグス粒子の崩壊過程の1ループ補正の計算を行った。 2 Dirac代数の処理を検査するために、REDUCEコードと、Vermaseren氏が開発した数式処理プログラムFORMを使って、出力した行列要素を数値的に正しいことを確認した。FORMは、今まで量子色力学の高次補正の計算に主に使われてきたが、軸性ベクトル(γ5)が含まれるような場合には、あまり適用しておらず、いくつからのバグを見つけた。これらの共同研究はVermaseren氏が昨年3月に来日した期間に行い、最終的には、REDUCEコードより数百倍高速に数式処理することができたことが確認された。 3 行列要素をヘリシティー振幅で計算するための数式処理プログラムの自動生成について考察を開始した。現在最低次の場合についてほぼプログラムが完成し、検査を行っており、来年度は1ループ補正の場合の行列要素の計算するプログラムに拡張する予定である。
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