本年度は、連続動作認識用GRBネットワークシステムのプロトタイプを開発することを目的とし、手の形状変化(連続動作)をモデルとして、その有用性を検証した。入力データには、手の関節の角度データの時系列データを用い、その取得にはデータグローブを使用した。実験データとして“にぎる"という動作の時系列データの列(50フレーム)を6セット用意し、5セットを学習用データ、1セットを教師用データとする。たとえば、学習させるとき、この5セットの学習用データ(ある決めたフレーム番号のデータ)をひとかたまりとし、そのフレーム番号の教師用データを教師信号として学習させる。なお、学習終了後にそのフレームが認識できたかはそのフレームに固有の認識用フラグを設定し、出力されるフラグの値がこの値になるかで判断する。そして、同様の学習を異なるフレーム番号についても行う。学習後、1動作のデータを入力した際に学習させたフレームの順番に認識用フラグと同じ値が出力されれば、“にぎる"の動作であると判断できるのではないかと考えた。本研究では、この“にぎる"の動作の5つのフレーム番号について学習させ、動作認識を行った。1動作50フレームのうち、10、23、40、45、50の5つのフレーム目をひとかたまりとして学習を行わせた。認識用フラグも5つ用意し、各フレームごとにフラグの値を変えて学習させた。学習後、“にぎる"の未学習データを入力し、フラグ出力結果より認識率を出したところ、84%となり、かなり高い確率で正しく認識ができた。また、“にぎる"の逆動作である“はなす"の動作を入力したところ、“にぎる"と逆の順序でフラグ値が出力され、“はなす"と認識することができた。
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