データマイニングは膨大なデータの中から有用な知識を抽出することを目的としている。通常の統計処理では、データの非線形性、非独立性、非数値あるいは欠損データの存在、および一括処理などのために困難であることが多い。本研究においては、多数決識別関数によりデータをクラス分類し、概念として取り出す新しい手法を開発した。線形識別関数は線形分離可能でないパターンクラスに対しては、学習の収束性は保証されず、隠れ素子による非線形構造のネットワークが用いられているが、学習の収束性が保証されない。このため隠れ素子の結合をパターンクラスに応じて学習的に構成していくような遺伝アルゴリズムに基づく共生進化アルゴリズムが提案されている。 多数決機械は奇数個の線形機械により構成され、線形分離可能でないパターンクラスに対しても有効であるシステムであるが、その学習は荷重空間の多峰性のため、最適荷重への収束が困難であり、不可能とされていた。本研究においては、従来困難とされていた荷重学習に共生進化アルゴリズムを用いる方法を適用することによって多数決機械を構成する方法を開発し、実験的に本方法が有効であることを示した。さらに、多数決機械が最適荷重に収束せず、学習が有限時間内で終了しない原因を解明し、必ず全ての荷重が学習過程においてパターンに応じた修正を行うような手順を提案した。この手順によって、線形機械の学習に基づく収束が可能な多数決識別関数の学習構成方法を開発することに成功した。
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