本年度の各計画項目についての実績は以下の通りである。 [1] 柔らかさの計測 サブミリメータの精度で測定出来るレーザ変位計と6軸力測定装置を組み合わせた装置を作成した。この装置を用いて、柔らかいモルモットの玩具ついで人の腕、顔面などの柔らかさを測定した。力と変位の関係は力がある程度小さい間はほぼ直線的であるが、力が大きくなると非直線性を示す。 [2] 柔らかいモデルの作成 我々のアプローチは対象物体をなるべく等しい長さを持つノードのバネネットワークで置き換えることにより、力と変位の関係を近似する。こうしたノードの配置はバブルを表面および内部に詰めることにより行う方法を用いた。柔らかいモデルのバネ係数は測定した力と変位の関係が実物と同じになるように、繰り返し計算により収束させ求めた。我々は表面が柔らかいモルモットの玩具と人の顔を例にとり柔らかさの測定とバネ係数の同定を行った。 [3] ハイブリッドモデルの検討 実物体を3次元バネネットワークで近似したとき、ノードの数が多くなり、外部から加えた力にたいする変化を実時間で計算することは難しい。そこで各ノードでの力と変位の関係を前もって計算しておき、ノード間の任意の点での応答は補間で求める方法を考案した。この方法については情報処理学会論文誌に掲載。 また、柔らかい物体例えば粘土のような物体を切断したり、引っ張りして形を作り上げる仮想現実感環境を作成した。このような応用を想定した場合、物体の形状を可視化する場合と柔らかさを表現する場合では解像度に大きな差がある。この点に着目して、同一の物体に2つの表現を持つハイブリッドモデルをつくり両者の必要条件を共存させることができた。
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