1.研究の意図 最近における地理学研究の多様な成果を統一的・体系的に整理するために、研究文献の中の重要な用語に着目して、(A)用語採録と分類における汎用性・客観性、(B)用語数の多さ、(C)研究動向の反映の確かさ、の3点に留意して用語リストを作成し、地理学シソーラスの形にまとめて、広く役立たせたい。 2.研究作業の内容 上記の意図のもとに、研究代表者による既往の研究成果に基づき、以下の作業を行った。 (1)地理学全般を対象とした主要用語の収集と整理。 (2)文化地理学を対象として、3種の資料をもとに、5000語程度・1300語程度・百数十語程度の3種の主要(重要)用語リストを作成するとともに、日英・英日・日欧3カ国の3種の対応表を作成。 (3)地理学研究と関係の資料・文献について、幕末に道南に建設された囲郭跡地の変容の事例を特論的に検討。 3.研究成果 以上のような作業の結果は、学会発表や別記(11.研究発表)のような論文として公表した。本報告書ではそれらの成果をも含む形で、次のように整理・配列した。 第1章<『地理学文献目録』第10集に採録された5年間(1992〜1996)の文献タイトルを資料とした分野別主要用語リスト>、第2章<『地理学評論』(第67巻〜第72巻)掲載論文に表示された日本語キーワードについて>、第3章<地理学主要3誌の掲載論文に表示された日本語キーワード>は、ともに作業内容(1)の成果で、第4章<文化地理学の重要用語と研究動向の分析>と第5章<文化地理学の主要用語(1308語)に関する日英対訳リスト>は、ともに作業内容(2)の成果である。 4.結論 本報告書には種々の事情から、作業内容のうち(3)の全てや(1)(2)の一部を収録できなかった。また、当初の研究意図のうち、大部な地理学シソーラスを整然と完成させるには至らなかった。しかし、本報告書が、今後の地理学シソーラス完成の基礎として、あるいは関連諸科学のドクメンテーションに広く役立つことを願う。
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