通信・放送統合トラヒックのモデル化と性能評価

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10680407
• 研究機関: 奈良先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 高橋 豊 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (00135526)
• 研究分担者: 笠原 正治 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (20263139)
• キーワード: マルチメディア / トラヒック / 動画像 / MPEG2 / ATM / ジッター / 性能評価

研究概要

本年度は通信・放送統合型ネットワークにおける各種メディアから生成されるトラヒックの基本的性質を実測データから定量的・定性的に明らかにし、それを数学的に表現する数学モデルの開発を目指して研究を行なった。得られた主な成果は次のようなものである。
1. マルチメディア情報の中でもトラヒックの観点から他のメディアへの影響が一番大きい動画像トラヒックの性質を解明するために、MPEG2符号化された実トラヒックを計測し、自己相似性・長時間依存性に関してこれらの性質を表現する代表的数値であるハースト・パラメータを中心に4種の手法を用いて理論的検討を行なった。
2. 動画像情報を始めとするバースト性・長時間依存性を持つトラヒックを表現する数学的記述法を開発した。特にトラヒック解析が可能であることと、シミュレーションにおいてトラヒックを短時間で生成できることを目指して、2状態を持つMMPP(Markov Modurated Poisson Process)を基に実用的で。精度の高いものが得られた。
3. マルチメディア・トラヒックがATMネットワークを介して送信されたときに発生するセル・ジッターを評価するためのシミュレーション・モデルをOPNET環境下で開発した。
4. 無線LAN、モーバイル・コンピューティングなどにおける多元接続方式における有効なプロトコルとして注目されているCSMA/CD-PS(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection and Packet Segmenation)の性能評価を行なうための数学モデルを開発し、その解析を行なった。
5. IP over ATMにおけるSVCCの性能評価のための数学モデルの提案を行ない、その数学的解析手法の開発を行なった。

研究成果

• [文献書誌] Y.Yoshihara,S.Kasahara and Y.Takahashi,: "Practical Time-Scale Fitting of Self-similar Traffic with Markov-modulated Poisson Process." Proc.of the 6th International Conference on Telecommunication Systems-Modeling Analysis,. 231-235 (1998)
• [文献書誌] M.Ishigaki,Y.Takahashi and T.Hasegawa,: "Performance Analysis of CSMA/CD-DRC Systems," Eleventh ITC Specialist Seminar-Multimedia and Nomadic Communications,. 66-75 (1998)
• [文献書誌] Y.Sakai,Y.Takahash,T.Hasegawa,: "A Composite Queue with Vacation/Set-up/Close-down Times for SVCC in IP over ATM Networks," Journal of the Operations Research Society of Japan. 41・1. 68-80 (1998)
• [文献書誌] Y.Sakai,Y.Takahash T.Hasegawa,: "Discrete Time Multi-class Feed back Queue with Vacation and close-Time under Random Order of Service Discipline," Journal of the Operations Research Society of Japan. 41・4. 589-613 (1998)
• [文献書誌] M.Ishigaki,Y.Takahash,T.Hasegawa,: "Performance Analysis of CSMA/CD-PS Systems," Telecommunication Systems,. 10・3-4. 291-320 (1998)
• [文献書誌] W.K.-G.Seah,Y.Takahashi,T.Hasegawa,: "Analysis of demand-priority access using a priority queue with server vacations and message depent switchover times," Telecommunication Systems. 10・3-4. 243-268 (1998)
• [文献書誌] N.Adachi,S.Kasahara and Y.Takahash,: "Simulation Study on Multi-hop Jitter Behavior in Integrated ATM Network with CATV and Internet" to appear in IEICE Transactions on Communications. E81-B・12. (1998)
• [文献書誌] Performance and Management of Complex Communication Networks: Chapman & Hall,London, (1998)