研究概要 |
【研究実績】 (1)昨年度組み上げた評価装置を用いて,遠方の視標位置と,近方の視標位置を空間的に0度から10度まで変化させ輻輳応答の特性を計測評価した. (2)被験者は少数ではあるが,結果は,両視標の位置差が約2度以上になると,上下左右など方向によらず眼球の共同運動により輻輳応答が加速されることが分かった. (3)視距離の異なる視標情報のトラジエントな過程における認知特性を調べるために,遠方視標と近方視標の二つが同一の平面に表示される場合を設定し,表示像の切り替わり継時の表示情報の知覚特性を計測した. (4)実験では,両視標の総呈示時間を一定に保ちながら,一方の呈示時間を変化させ被験者の認知状況を報告させたが,一方の呈示時間が30msec程度になっても,被験者は両方の視標情報を正確に答えることができた.この結果から,視距離が異なる二つの情報の認知過程では,何らかの視覚情報抑制作用が働いていることが示唆された. (5)遠方視標と近方視標の表示視標の情報認知過程では,まず,共同運動で輻輳応答が加速され,共同運動によって生じるサッカード抑制により輻輳応答前後で受容される二種の情報の一方を抑制して二重知覚を低減・抑制するという視覚情報受容モデルが示唆される. (6)以上の知見をまとめて,現在論文投稿を準備している. 【今後の予定】 次年度は,最終年度として,全体のデータを補強すると共に,視覚情報受容モデルの記述,昨年度の結果も含め全研究を報告書としてまとめたい.
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