今年度は、研究の初年度として、視覚障害者が音声ブラウザを操作して検索を行う際に問題となる、検索エンジンのページ構成と音声読み上げにおける操作性についての問題点を明らかにするため、一般の検索エンジンの評価実験を行った。実験では、全盲の視覚障害者2名に、検索エンジン計5サイトを、Windows95上の2つの音声ブラウザと、Lynxの計3種のブラウザを使用して、キーワード入力の時間と、結果が見つかるまでの時間を測定し、かかる時間を比較した。この結果から、検索エンジンのページ構成についての評価を行った。結論として現在の一般に使用されている検索エンジンのページ構成は、音声ブラウザ使用という立場からは、問題があることがわかった。この結果から、どのような検索用ページの構成が視覚障害者に使い易いかをページ設計の指針としてまとめた。健常者の利用との両立を考慮すれば、現在のWebページにおいて行われている日本語ページ/英語ページの切り替えのように、画面の最初の部分に音声ブラウザ使用者用の単純化されたページへの切り替えを可能とする事が一般的になることが望ましい。以上については、情報処理学会平成11年度前期全国大会において、「視覚障害用音声ブラウザ使用時のWWW検索エンジンの操作性」の題目で報告した。引き続きこれらの結果を基にして、視覚障害者のWWW利用に適した検索用Webページの設計を行っており、次年度には、試験的な検索システムを作成する予定である。
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