研究概要 |
本研究は,研究開発計画・管理論の構築を目指す研究の一環として,特に,「革新的研究開発の構想立案機構」に着目し,その解明と効果的な機構の構成を実証的に試み,この分野における研究法確立に一歩を踏み出すことを目的としている. 平成10年度は,まず,日本企業の企業戦略や研究企画管理の専門家等約20人からなる研究ワーキンググループを設置した.そこで検討した結果,革新的研究開発を行うには,(a)研究戦略の立案,(b)研究テーマ提案・発展,(c)中核的人材の育成・活用の各機能の効果的な確立が重要であることを明らかにした.次に,我が国におけるこれらの現状や問題点,及び,今後の要望を明らかにするために,研究開発の現場に対するアンケート調査を設計・実施した.研究・技術計画学会に所属する313人の企業会員に対して調査がなされ,137人(有効回答44%)からの回答を得た.その結果,「長期戦略の策定」に関しては,経営戦略作成の実態,技術戦略作成の実態,その両者の関係に関して,例えば,競合他社や競合技術についての戦略が不足し,全社的な技術戦略が不在であるなどの知見を得られた.ついで,テーマの提案制度への要望として,提案実施による利益の提案者への還元等のインセンティブに関する具体的な要望を明らかにできた.また,革新的研究開発を行う中核人材の役割についても,コンセプトクリエーターの重要性を明らかにできた.
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