研究概要 |
本研究は,研究開発計画・管理論の構築を目指す研究の一環として,特に,「革新的研究開発の構想立案機構」に着目し,その解明と効果的な機構の構成を実証的に試み,この分野における研究法確立に一歩を踏み出すことを目的としている. 平成10年度は,アイデアの提案者が自分の初期のアイデアを社内に公開し,そこに他の多くの人々のコメントを加えて元のアイデアの質を高めるという仕組みを「アイデア発展の場」と呼び,その活性化方策を明らかにした。本研究では,この「コメント」に注目し,エージェンシー理論を応用した「アイデア発展の場」のモデル化を行った。このモデルで,アイデア提案者とコメント提供者の関係を報酬と結びつけて議論し,報酬によってコメントの提供が増え,アイデアの質を発展させることができることを示した。さらに,この「アイデア発展の場」において,コメント報酬制度がアイデアの発展に及ぼす影響を定量的に議論するため,「アイデア発展の場」のモデルに基づいてコンピュータ・シュミレーションを行った。その結果,「アイデア発展の場」にコメントの報酬制度を導入することは,質の高いアイデアの数を増加させることが明らかになり,さらにコメント報酬制度の効果について,新たな知見を得ることができた。
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