本研究は、設計開発プロセスにおけるチームあるいは設計者が設計解を得るまでの内部プロセスに着眼し、デザインラショナーレと呼ばれる設計開発の設計解や仕様を導き出す推論過程の軌跡を観察する方法論の改善、開発を目指すものである。平成11年度は、平成10年度の成果をもとに、以下の研究成果を得た。 (1)記録フォーマットのカテゴリー デザインラショナーレのもととなる記録フォーマットについて、過去や現在進行中の設計開発の問題点の提出を容易化するために、議論の部分をその内容にカテゴリー化(時期、種類(機能定義、仕様、修正、確認、運用、メモ、テスト、スケジュール)、議論の権威レベル)を行った。特に修正については4つのタイプに分類し、フォーマット化することによって構造化した。 (2)遷移パターン手法の開発 上記に基づく記録フォーマットから、設計開発プロセスにおける正常、問題の発生しているパターンを検出するための遷移パターンダイアグラム手法を開発した。 (3)IDEF3によるソフト化 記録フォーマットおよび遷移パターンダイアグラムをソフト化するために、IDEF3を援用し、記録についてはエバルエーション機能を用い、遷移パターンにはプロセスフローダイアグラムとオブジェクト状態遷移ネットワークを用いて実現した。 以上の有効性を、実際のソフト開発事例に適用し、その妥当性および効果を実証的に示した。
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