研究概要 |
危機管理システムの中の災害対策システムに焦点を絞り、初めに同一組織内での緊急時の情報収集及び意思決定方法を検討、次に、複数組織間の情報伝達と協調的意思決定の問題に拡張した。 1.同一組織内: (1)東京都、調布市など都市における広域災害発生時の緊急対策・地域防災計画に着目、特に行政及び消防関係組織内での緊急時の情報獲得・発信・受信過程を考察し、大規模災害時に情報が適切に伝達されるための必要要件を特定、理想系となる「情報伝達サイクル」を提案した。 (2)さらに階層型意思決定モデルの中にそのサイクルを当てはめ、内部モデルと結びつけて、意思決定階層間での情報伝達や情報共有のための基本モデルを構築、それが、システムの失敗防止方法論(Fortune,1995)の中でシステムの欠陥を浮き彫りにできることを明示した。 2.縦割り組織・複数組織間:各組織がいかに他組織の意思決定情報を得て協調できるかをポリエージェントシステムモデルで解析した。 (1)自然な情報流通を狙った新しい重複型ネットワークを提案、その効果を並列遺伝アルゴリズムを利用したシミュレーションで示した。 (2)緊急時に情報が集まらない場合の意思決定方法に着目、受動的な情報待ちではなく自発的に情報を収集する方式を提案、数理モデルを適用してその方式が効果的となる条件を提示した。 3.事故解析:99年9月末、東海村で臨界事故が発生したため、その事故における情報システムの問題点を整理、組織事故としての解析により日本特有の特徴を抽出した。 また、危機管理システムヘの応用を年頭に、以下をそれぞれ追究した。 4.情報に対する信頼の喪失が、あるパターンによって引き起こされること 5.誤情報を考慮した情報統合 以上の結果に対し、組織リスクの権威、英国マンチェスター大学リーソン教授のレヴューを受けた。
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