研究概要 |
ATMのようなHigh-speedネットワークシステムのトラフィック流には,さまざまなタイプのトラフィックが混在し,各ノード間を行き来することで,ネットワーク全体として複雑な様相を呈している。このようなネットワークシステムの様相を解明する際,各ノードでの特性を明らかにすることが1つの問題としてある。 1つのノードに着目した時,他のノードから異なるタイプのトラフィックがさまざまなサービスを要求して到着する。その際,注目しているノードでは,さまざまなサービスが行われる。ここでは,以下のように大きく分けて3つのサービス方策のもとで待ち行列システムの解析を行い,ネットワーク・システムの特性を明らかにする各種の量を求めた。 2種類の客が窓口に互いに独立にポアソン到着して,並列待ち行列を作るものとする。この時,(1)1人のサーバーが客のサービスが終了したときにBernoulli-Threshold service schedule方策によって処理するシステム,(2)1つの待ち行列に強優先権あるいは非強優先権を付与して,(M,N)-Threshold service schedule方策に従ってm人のサーバーにより処理するシステム,(3)2人のサーバーが従来のThreshold typeを拡張をしたHysteretic control service方策により処理するシステムの三つのモデルを考え,これらのシステムに対して、定常状態における各々の待ち行列の系内人数の同時分布の母関数を決定し、各待ち行列の平均系内人数や平均待ち時間を求めた。 また,システムの信頼性に関して以下のような理論的な考察を行った。 1つは,システムの状態の複雑さをエントロピーによって捕らえ,エントロピーとシステムの構造との関係を明らかにし,エントロピーを最小にする構造が直列かまたは並列であることを確率的な独立性を仮定することなく一般的な設定のもとで証明を行った。さらに,信頼性理論においてもっとも基本的な概念である二状態単調システムの概念を多状態に拡張し,その代数的な構造と確率的な性質を明らかにした。
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