本研究は、弱視者のOA作業における能率向上に寄与することを目的に実施された。3カ年にわたる研究成果は以下のようである。 1.自動原稿台へのティーチング・プレイバック機能の追加 手書き記入された定型の表形式の文書情報をデータベースに入力する作業を支援するために、自動原稿台にティーチング・プレイバック機能を追加した。評価実験では良好な成績が得られた。 2.二画面ワイドテレビの活用 横長の二画面ワイドテレビを利用して、拡大読書器画面とワープロ画面を左右に表示する方式を提案した。 3.カメラ移動型拡大読書器の試作 カメラと原稿台を一体化させ、かつ、カメラ部を動かす拡大読書器を考案した。カメラ部を動かすタイプの拡大読書器は世界的にみても例がない。 4.ティーチングプレイバック機能におけるユーザインタフェースの向上 ティーチング・プレイバック機能の有効性は確認されたが、弱視ユーザが簡単に利用できる仕組みにはなっていなかった。そこで、ユーザレベルで簡便に利用できるようにユーザインタフェースに改良を加えた。評価実験では良好な結果が得られた。 5.フットスイッチにおけるダブルクリック性能の向上 本研究で開発された支援機器はフットスイッチにより操作されるが、システム側のダブルクリックの認識にユーザ間でバラツキがあった。そこで、多人数の被験者の参加を得て足によるダブルクリック動作の時間特性を調べ、その結果を認識アルゴリズムに反映させ、改善を図った。
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