研究概要 |
前年度の研究実績の概要で、研究成果の一部を゛The secretary problem with rank-dependent rejection probabilities゛と題して纏め専門誌に投稿した旨述べたが、同論文が゛On a generalization of the secretary problem with uncertain selection゛と改題されて、JORSJ40周年特集号に掲載されたことを最初に報告しておく。上述の論文においては、意志決定者(DMと略す)に許されるオファーの回数に制限が付かなかったが、制限を付けた場合の問題を今検討している。まだ論文として纏めるに至っていないが面白い結果が得られるものと予想している。 次に研究の目的の所で述べたBoyceurn problemと関連した問題であるが、これは次のようにモデル化される。最初、壷の中にm個のマイナスボールとp個のプラスボールが入っていて、DMは毎時1個づつボールを抽出する(非復元抽出)。プラスボールを選んだ時は1点加点され、マイナスボールを選んだ時は1点減点される時、DMは停止時での総得点を最大にするにはどの時点でボールの抽出を停止するかという問題である。この問題は確率論で有名なballot problem(投票の問題)と密接な関係にあることが分かってきた。この研究成果の一部は昨年、東工大で開催されたWorkshop on Applied Probabilityで報告したが、春季OR学会においても、その後の成果を含めて報告する予定である。この問題は、m,pの値を大きくしたとき、漸近的にブラウン運動に収束するが、その場合の挙動、及びm,pの値が未知の場合の挙動も今後検討したい。 また、今後の研究課題としてGusein-Zade問題の一般化も視野に入れていきたい。この問題の詳述は避けるが、既に一部成果を得ていて、3月京都で開催される国際会議で報告することになっている。 最後になったが、昨年はロシアからMazalov教授を招き、最近の最適停止問題の動向、展開について有益な話を伺った。
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