本年度においては、ポートフォリオ最適化支援システム構築に向けて、機械学習の方法としてポテンシャル法およびRBF(Radial Basis Function)ネットワークをとりあげ、理論的側面と実用的側面の両方から考察と実証的分析を行い、さらに多目的計画の方法である満足化トレードオフ法のヒューマンインターフェイスに工夫を施した。 投資と金融の問題においてとくに重要で困難なことは、いかに時々刻々変化する環境に対し先を予見しながら対応していくか、である。機械学習にこの機能をもたせるには、必要に応じて追加学習を行い、また不必要なデータを忘却するということが重要である。従来の機械学習にはこのような追加学習・忘却の機能をもつものは少なく、本研究代表者はこの数年このテーマに取り組んでいる。本研究においては本研究代表者らによって提案されたポテンシャル法およびRBFネットワークに追加学習と忘却の機能をもたせ、ポートフォリオ最適化におけるシミュレーションによってその有効性を確かめた。その結果、単銘柄の予測及びポートフォリオミックスの問題ともに、単に初期学習のみの場合よりも追加学習・忘却を行った方が高い性能を持つことが示された。 さらに、このように機械学習によって得られた売買候補に対し、何をどれだけ売買するかを決定するために、多目的数理計画法の適用を検討した。具体的には本研究代表者の提案による満足化トレードオフ法をポートフォリオ最適化に適用が容易になるようそのヒューマンインタフェイスに工夫を施した。 次年度以降、さらにシミュレーションを重ね、より実用的にこれらの方法を洗練していく予定である。
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