従来の地震防災に関する研究では都市の問題に偏り、都市部以外での問題が余り論じられていなかった。非都市部のいわゆる農漁山村では、都市部には見られない例えば人口希薄地域特有の問題など多くの問題を抱える。さらに、地震に襲われる頻度を考えて見ると都市化の著しい日本においても圧倒的に非都市部の方が多く、近年の被害地震の起こり方もこの事を示している。これらのことから、非都市部における地震防災の問題は決してないがしろにできない問題であり、地震防災計画手法確立の必要性に迫られている。本研究ではテストフィールドとして近年立て続けに被害を経験した北海道東部、南西部を対象として地震災害の実態を明らかにし関連する要因を分析し防災課題を整理する事を目的に2年計画で実施したものであり、本年度は2年度にあたる。 本年度は檜山地方に絞り、次に示す項目について調査研究を進めた。1)北海道南西沖地震の被災の追跡調査では、被害調査報告書など特に各市町村や各団体の取りまとめた報告書の発掘に努め幅広く収集し被災の全容の解明に供した。被災現地の役場を訪問し、地震直後の対応、復旧・復興状況の聞き取り調査を行なった。2)地域構造の把握のため、現地の図書館、博物館、郷土資料館に赴き、市町村史、古地図、新聞などの資料の収集を行った。 これらの資料をもとに、地震災害の全容を時空間で整理しなおし、地域特性との関連を分析した。また、兵庫県南部地震を契機に各地で防災対策が以前よりも増して強化されており、進められている防災対策の現状についても分析を進めた。
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