本研究では、これまでに開発された津波時における避難行動モデルをより改良させることを目的とし、いくつかの地域において避難行動に関する現地調査を行い、その結果を避難行動モデルの改善に利用する。避難経路選択についての現地調査については、津波常襲地域の海水浴場(宮城県志津川町大森崎)において、観光客などの地理認知度の低い人々が津波に対する避難勧告に対して、どのような避難行動をとるのか調査を行った。ここでは、避難路及び避難場所表示が設置されているが、分かり辛い場所にある。海水浴場において、合計10名の被験者に、避難開始の合図とともに、各自に行動をとってもらった。まず、5名が指定された避難場所の高台に到達することができた。これは先頭の一人が事前に標識があることを知っていたため、直ちにそちらの方向へ移動し、その後4人がその後を追随した結果である。避難完了時間は約1分30秒である。このように多数いる場合には、先頭を切って行動する人に追随する効果が必ずあることを示している。これは、先頭者周りの近い場所にいる人であった。さらに、海水浴場などでは、避難時に不特定多数による混雑などが予想される。避難行動モデルは、単独行動ではなく群集行動の特性としての要素も取り入れなければならない。そこで、3日間で200万人以上が全国から集まる仙台七夕祭りを対象に、その群衆行動の様子を最も混雑する仙台駅内および周辺でビデオ撮影し、その行動パターン、停滞等の様子を観察して、そのモデル化のための問題点を抽出した。調査で以下の点4つの項目が挙げられた。(1)エスカレーター前での滞留、(2)滞留時の迂回行動、(3)グループ歩行、(4)情報案内板。最後に、津波ではないが、洪水時での危険認識と避難行動に関する調査も行った。
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