本研究は台風・集中豪雨の様な気象条件が悪いとき、被害状況などの監視に雨・雲等の影響を全く受けない合成開口レーダ衛星(SAR)を使い状況の監視を行おうとするものである。その検証実験として、平成5年9月3日、鹿児島県中心部に上陸した、戦後最大級の台風13号の被害状況を解析した。台風13号により広範囲で土砂崩れや河川の氾濫などが発生した。しかしながらSAR画像には特有なスペックルと呼ばれるコヒーレントノイズが存在し、これが唯一の欠点となっていた。そこで雑音の効率的な除去法が重要な課題として残っていた。 宇宙開発事業団から、台風13号が上陸した鹿児島県が含まれているJERS-1/SARデータ(平成5年9月3日撮影分)を取得し、解析を進めた。さらに比較のために前年9月のSAR画像を取得し、当該画像と差演算を実行した。実行の結果はフィルター処理をしない場合、スペックルノイズの影響で水害の影響を検出できなかった。そこで本研究室で開発したスペックルノイズ・フィルター処理した1ルック画像で再度差演算処理した結果、水害の影響と思われる領域を抽出できた。確認のために現地調査を行った結果とも照合を行い確認した。 以上の研究経過を日本リモートセンシング学会で「JERS-1/SARによる鹿児島における1993年台風13号水害検証」と題して論文報告した。
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