研究概要 |
研究計画書(1)~(5)に沿って,進捗状況を報告する(波線部は内定交付金で購入あるいは製作した物品を示す). (1) 実験設備の配置(真瀬・佐藤が平成10年10月末まで担当)→高価なフラーレンを吸着回収するためのSUS304製真空容器[設備費]を設計した.容器外壁を冷却して,フラーレンを吸着回収できることを確認した.また,レーザ脱離イオン化型飛行時間質量分析器(LD-TOFMS)用のサンプルスライドをオーブンの下流に設置することにより,バイアス電圧の極性と大きさを変えながらフラーレンの捕集量を制御できた. (2) 混合プラズマの計測(池畑・佐藤~平成10年12月末)→フラーレン-アルゴン混合磁化プラズマのプラズマパラメーター(空間電位など)の2次元分布をプローブ計測し,フラーレン膜堅牢化に与える径方向イオン束の効果を検討した.平成11年度は,OMAによる分光計測を行ない,混合プラズマ中イオンの挙動を把握する. (3) 高周波バイアス実験によるフラーレン膜形成(池畑・佐藤~平成11年度)→浮遊電極へ高周波電圧を印加し(信号発生器[設備費]),電極シース構造を変化させながらフラーレン膜を形成している. (4) フラーレンイオンのエネルギー測定(佐藤,大学院学生1名~平成10年2月末)→静電型エネルギー分析器を製作して,バイアス電極に入射してくるイオンのエネルギーを測定した.イオンエネルギー分布の広がりが観測されると堅牢なフラーレン膜が形成されることが判明した. (5) フラーレン膜堅牢性の評価と膜特性解析(真瀬・池畑・佐藤~平成11年度)→LD-TOFMSを用いて,レーザ照射によるフラーレンの脱離とフラグメンテーションを観測している.強磁場中の深い負バイアス条件で形成されたフラーレン膜は,脱離,特に,フラグメンテーションを起こしにくいことが判明した.
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