研究概要 |
マイクロ波パルス列バーストを用いて励起した磁化プラズマ中で酸素および窒素を励超し、プラズマ中のフリーラジカルを利用して金属酸化物(Ta_2O_5)とIII族(Al,Ga)の窒素化合物微結晶薄膜の堆積を行った。 1.Ta_2O_5は温度制御した溶融石英基板上に堆積した。基板温度が450℃以上では堆積速度0.7μm/hrで基板表面に垂直にC軸が配向した薄膜結晶を堆積することができた。差動排気4重極質量分析器の電離領域内部の電子エネルギーを制御することによって、出現ポテシャル質量分析を行い、プラズマ内部の解離酸素原子の相対密度を測定した。この測定によって、マイクロ波放電は酸素原子の解離に有効に働いているが、放電安定化のために混合していた希釈用アルゴンの分圧が高い条件(P_<Ar>>/(P_<Ar>+P_<0xy>)>20%)では、遊離酸素原子の相対密度が減少し、出現ポテシャル質量分析では検出できなくなること、さらに、準安定励起状態の酸素原子の相対的密度が無視できない量であることが明らかになった。アルゴンの分圧が高い場合は、1μm/hrの堆積速度が得られたが、Ta_2O_5薄膜結晶のX線回折のピーク線幅が広く、結晶性が劣る傾向が見られた。 2.容別途フリーラジカル源として開発している容量結合高周波プラズマセルの発光スペクトルと比較した。量結合高周波プラズマセルの発光スペクトルはバンド構造のスペクトルが支配的であるのに対して、マイクロ波プラズマの場合は原子とイオンの線スペクトルの発光強度が強く、マイクロ波放電によって作動気体が強く解離されている様子が明らかになった。
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