この研究により、昨年度得られた回転角速度シアーによるプラズマ崩壊現象の非線形発展過程に関する、さらに詳しい実験データを得た。 1.昨年度開発した多点探針による磁場に垂直な2次元平面におけるプラズマ密度の振る舞いの観測法を、ドリフト波について適用し、ドリフト波に乗って動くドリフト渦の初期的データを得ることに成功した。この2次元測定システムが十分にその機能を発揮しうることを示すことができた。しかしながら、回転角速度シアー場中におけるプラズマの広がりに関する2次元測定の初期的な観測には成功したが、鋸歯状振動とプラズマ崩壊の2次元観測には残念ながら成功していない。これは、鋸歯状振動とプラズマ崩壊の制御が十分でなく再現性に信頼性を欠くためで、現在この点の改良に鋭意努力している。 2.上記の事情のため、多点探針からのデータを、2次元等高線データに変換せず、オシロスコープで直接観測することにより、鋸歯状振動とプラズマ崩壊の関係を考察した。この結果、径方向電場の強度の大きさにより4つの領域に分けられることが分かった。すなわち、1)線形のモードm=2の励起領域、2)m=1および2の同時励起領域、3)m=1および2が交互に現れる領域、4)m=1が鋸歯状振動となり、プラズマ崩壊を伴う領域である。領域4)はトカマクにおけるテアリング不安定性トとプラズマ崩壊の関係と酷似している。この時、m=2からm=1に遷移しついにはプラズマ崩壊を起こすという非線形発展過程が最も重要であることが判明した。
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