フロロカーボンプラズマを用いたシリコン酸化膜エッチングでは、エッチングプロセスを繰り返すうちに徐々にプロセス結果が経時変化してしまい、この原因の一つとして、プロセス中に壁に堆積するフロロカーボン膜とプラズマとの相互作用が考えられている。本研究では、プロセス再現性の改善が高精度酸化膜エッチングの実現させるために、イオン衝撃により膜堆積を抑制し、これらのプラズマ・壁相互作用を低減させることを目指している。今年度は、これまでに開発した交互イオン衝撃法を現在のエッチング装置に適用しやすいようにバイアス印加法を改良するとともに、イオン衝撃が加わらない非イオン衝撃壁がラジカル密度の経時変化に及ぼす影響について検討した。交互イオン衝撃法では、すべてのバイアス壁で均一なイオン衝撃を得るために、表面積が等しい二つのバイアス壁を用いる。従って、必ずしも両方のバイアス壁はフローティングにする必要はなく、片側のバイアス壁を接地してもほぼ同様な堆積膜の除去効果を得ることができた。また真空容器を2分割してそれ自身をバイアス壁として動作させると、非イオン衝撃壁の面積を従来よりも1/10以下にでき、そのときのラジカル経時変化は従来に比べて小さくすることができた。このことから、極力非イオンの面積を減らして容器内部での膜堆積が起こらないようにすることが、プロセス再現性のよいエッチング装置を構成するために重要であることがわかった。
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