報告内容は、X線分光学的手法開発に関するものと、磁場測定を目指した超高強度レーザー生成プラズマのX線分光に関するものとで構成されている。本研究を進めるためには、高スペクトル分解分光の手法が必要になる。X線分光装置として波長5nm-30nmにわたり平面結像型斜入射X線分光器(溝数1200ライン/mm)、波長1nm-0.5nmにわたりシリコンの湾曲結晶分光器が用いられている。それぞれ結像系を有し空間分解が可能である。検出器は高感度背面照射型CCD装置を用いる。これら装置の高空間およびスペクトル分解特性を把握するため、小型レーザーをターゲットに照射し発生するX線スペクトルの特性を測定した。ターゲット照射実験により、これら分光器の性能評価を行った後、大阪大学レーザー核融合研究センターに設置されている激光XII号レーザーの超短パルス超高強度レーザー(パルス幅0.5ピコ秒、エネルギー50J)を用いたプラズマ発生実験でX線スペクトル測定を行った。測定された線放射を詳細に分析しプラズマ温度、密度の評価を行うとともに、磁場等による異常な線スペクトルの広がり(ゼーマンシフト)を探索した。現在のところ、明らかなゼーマンシフトに起因するスペクトル広がりと結論づける線スペクトルは得られていないが、プラズマ分光学的に興味深いスペクトルが数多く得られており解析を続けている。高性能結像光学系による空間分解能の更なる向上が期待される。これにより空間的に局在する長強磁場に関するより明確な情報が得られるものと期待される。
|