ボート法によって生成したアルミニウム微粒子に紫外線を照射することによって微粒子プラズマを作った。この微粒子プラズマの基礎パラメーターである密度と微粒子の荷電量の測定法を開発し、精度良く測定できる技術が確立できた。プラズマ密度はHe-Neレーザー光の透過光量の減衰量から平均密度を、レーザー光の散乱光強度分布から密度分布を測定できるようになった。微粒子の荷電量のリアルタイム測定は微粒子プラズマビームを静電場、あるいは、静磁場中を通過させ、そのビームの分裂量から荷電量を測定できるようにした。これらの成果の一部はJ.Quant.Radiat.Spectrosc.Transferで発表した。さらに、質量分析器に用いられている方法を応用した新しい測定法の開発を試みている。 微粒子プラズマの重要な基礎パラメーターの1つである粒子径をリアルタイムで測定するための光学的方法を開発・実験中である。この測定法の結果は次年度中には実験成果が発表できる予定である。以上の研究が進めば、微粒子プラズマの基礎パラメーターである、粒子径・帯電量・密度の測定方法が確立できる。 土星などの外惑星にリングの存在が知られているが、リングがどのようにして形成されたかを調べるシミュレーション実験を行っている。紫外線照射によって生成された2成分微粒子プラズマ中で双極子を埋め込んだ模擬惑星を回転させることで微粒子プラズマのリングが形成されることが確認された。この実験結果については2nd International Conference on the Physics ofDusty Plasmasで報告する予定である。 微粒子プラズマの素過程のなかで、粒子の帯電過程は重要である。帯電に大きな役割を果たす、紫外線による帯電機構と気体プラズマとの相互作用による帯電機構の2つについて研究する目的で、この研究費で購入した高周波電源を用いた専用の装置を製作し、実験中である。
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