研究概要 |
本年度は,インドプラズマ研究所のKAW教授並びにグルジア共和国のTSINTSADZE教授との共同研究で、以下の研究を行った。 1)ソリトンの発生と伝播 10^<18>W/cm^2以上のレーザー照射強度では相対論的非線形性により,前方・後方誘導ラマン散乱および変調不安定性が結合して起こり,散乱光は周波数カスケードと2次的変調不安定性を起こす。この結果,散乱光は波数ゼロの状態に凝縮し,サブサイクルソリトンに分裂することを示した。これは入射レーザー光と相互作用し,増幅・減衰の振幅振動を行う。ソリトン発生の結果,反射は間欠的となり,パルス列となる。以上により,レーザーの入射・伝播におけるソリトン形成の役割の重要性が明確になった。この結果は,米国物理学会で報告され,近く出版予定である。 2)相対論的電子ビームの伝播と電磁流体力学 アルヴェン極限電流の1000倍以上にも達する高電流の相対論的ビームが超高強度レーザーにより作られ,これが高密度プラズマに入射されると,帰還電流が誘導され電流は中和される。しかし,この配位はワイベル不安定性を起こし,その結果前方電流と帰還電流が分離し,電流フィラメントが形成され,それと共に相対論的電子ビームは散乱・等方化され,フィラメントの融合・自己組織化が起こることを発見した。この過程は3次元粒子シミュレーションコードと理論解析により,その物理が解明されつつある。この結果は米国物理学会で発表されると共に,論文として学会誌に投稿されている。 3)自己変調不安定性への自発磁場の効果 レーザーにより,電子が伝播方向の運動量を付与される結果,レーザー伝播方向に電子の流れが生じる。レーザーがフィラメントに分裂する過程で,この電子流に伴う自発磁場が生じて,フィラメントの非線形発展に影響を与える。すなわち,フィラメントのマージング等の原因になると予想される。この結果は大阪大学レーザー核融合研究センターの年報に纏められた。
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