研究概要 |
本年度は、ユウゴスラビア共和国のL.Hadzevski教授、インド・プラズマ研究所のP.K.Kaw教授、Sengupta氏及び、イタリア・ミラノ大学のT.Desai博士等との共同研究で、以下の研究を行った。 1.相対論的ソリトンのダイナミックス 前年度に引き続き、10^<18>W/cm^2以上のレーザー照射下でのソリトンの伝播特性、特にサブサイクルソリトンへの有限電子温度効果を明らかにし、報告書としてまとめた。また、直線偏波ソリトンの解析を行い、振動するポンデロモーティブ力による密度変調がソリトンの伝播に及ぼす影響を調べた。 2.相対論的電子ビームの伝播と異常減衰 高密度プラズマ中に、高電流密度の相対論的電子ビームが入射したとき、ワイベル不安定性により、電子ビームがフィラメント状に分裂するが、そのフィラメントの電磁流体的不安定性(ソーセイジ不安定性及びK-H不安定性)の解析を行った。また、これらの不安定性と共に、フィラメントの結合過程で、帰還電流への異常電気抵抗が発生し、直流縦磁界が誘起されることを明らかにした。誘起電界により、相対論的電子ビームはエネルギーを減衰させ、バックグラウンド電子の強い加熱が起こることが,粒子シミュレーションにより発見された。異常抵抗の発生機構について検討し,磁気乱流が重要であることを見出した。 3.相対論的電子とレーザーとの相互作用によるストキヤスティック加速 カットオフ密度より低密度のプラズマ中では,レーザーの位相速度が光速に近く,光場と相対論的電子とは"準共鳴状態"になる。この状態に第2波動場などによる摂動が加わることで,電子の軌道がカオスになり,非常に強い加速が起こることを発見した。
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