研究概要 |
前方放射を利用したスミス・パーセル型自由電子レーザーの研究を行っている。金属表面に周期的な溝を掘った回折格子の表面近傍に電子ビームを伝搬させると、表面近傍に存在するevanescent wave(格子表面に対して垂直方向には指数関数的に減衰し、表面方向には回折格子の周期性により電磁波の位相速度が光速より遅くなっている電磁波モード)と、電子ビームが速度同期して、電磁波の発生、増幅が行える。 実験的には既に、50GHzのミリ波領域でのスミス・パーセル型自由電子レーザーの発振には成功しており、現在、100GHz,及び300GHz(波長1mm)での実験を進行させている。 相対論的電子ビームからの前方放射を利用するため、反射鏡3枚を用いたリング共振器を準光学的に構成する必要がある。現在、100GHzのミリ波を用いて、平面、凹面鏡、金属回折格子からなるリング共振器の特性測定を行っている。 関連する研究として、川崎重工と共同して、ウィグラー周期長4mmのマイクロウィグラー磁界を製作し、この静電加速器を用いて1MV以下の加速エネルギーで、300GHz以上のサブミリ波の生成に1999年より着手する予定である。この共同研究は、1999年度に東京理科大学に設置される自由電子レーザーを用いた赤外・サブミリ波利用のための「自由電子レーザー利用センター」との共同研究の一環である。
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