ミリ波、サブミリ波領域での発振を目標とするマイクロウィグラを使用した小型自由電子レーザの研究を行った。マイクロウィグラは永久磁石で構成されており、幅(磁石ギャップ方向)2.25[mm]、高さ3.5[mm]の共振器用導波管が挿入されており、電子ビームはこの導波管内を通過する。 電子ビームの質的改善に電子銃の開発を行った。電子銃設計には電子軌道計算コードE-GUNを用いて行った。シュミレーションの結果では、電子ビームの質を表すエミッタンス値は従来の1.97[mm-mrad]から0.70[mm-mrad]に向上させることができた。また、本実験装置の加速管の径が11[mm]であるのに対し、従来の電子銃での加速管出口での電子ビーム径は11.24[mm]と大きく加速管の電極に電子ビームの一部が衝突している可能性があったが、設計した電子銃では9.7[mm]であり電子ビームがすべて加速管を通過できるものと思われる。 KrFエキシマレーザ(パルス幅20[ns])からのレーザ出力を、光学的遅延させてパルス幅約35[ns]のレーザパルスを生成させて、新たに設計製作した電子銃の金属カソードに照射して、光電子を生成させた。この電子ビームをマイクロウィグラに伝搬させて、約100[GHz]の自由電子レーザの発振を得た。
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