小型な装置により、他の光源があまりない短ミリ波及びサブミリ波のコヒーレントな電磁波を発生させるために、スミス・パーセル型及びマイクロウィグラ型自由電子レーザの開発を行った。相対論的電子ビームを発生させるためにコンパクトなディスクトロン型静電加速器を用いた。良質な電子ビームを発生させるために、エキシマレーザを金属陰極に照射させる光電子型電子銃を開発した。 スミス・パーセル型自由電子レーザについては、100GHz及び300GHzの周波数領域で、回折格子を用いた共振器を設計、製作した、実験を行ったが、微弱な自然放射光を検出したに留まり、レーザ発振は観測されなかった。この原因として考えられるのは、スミス・パーセル型相互作用に有効な、回折格子近傍を通過する電子ビーム電流量が不足しているためと考えられる。 マイクロウィグラ型自由電子レーザについては、96GHzでの発振を行うためにウィグラ波長8mmのマイクロウィグラ磁界と共振器の設計、製作を行った。電子ビームの改良を行い、電流量の増加、収束性の向上及び電子ビーム幅の拡張を計った結果、100GHz付近の周波数領域に有意な電磁波信号が検出された。信号の大きさはスミス・パーセル型の場合と比較して100倍以上大きいものである。周波数は、ファブリペロー型周波数分析器によって測定した。
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