研究概要 |
本研究の目的は、スフェロマック型コンパクト・トロイド(CT)とスフェリカルトーラス(ST)プラズマとの相互作用の解明とSTにおけるヘリシティ入射によるMHD緩和現象の探求である。特に,CTプラズモイドとSTのMHD緩和の性質を利用した実験をすることにより、STプラズマ中での磁気リコネクション機構や磁気ヘリシティ保存などの自己組織化の物理について総合的理解を深めることができる。 平成12年度の研究実績は以下の通りである。 1)ヘリシティ入射物理の探究を目的として、外部トロイダル磁界を急速に反転させることで,プラズマが安全係数がq>1のST領域からq<1のスフェロマックを経て,さらに低q領域のRFP配位へ遷移するかどうかを調べた。その結果,STの生成過程でトロイダル磁界を反転させた場合,トロイダル磁界が中心導体側エッジから逆転し始め,ついで外側エッジで反転することでRFP配位が形成されることが分かった。OH電流駆動を行っていないため,RFP配位形成時間は100マイクロ秒程度と短く,磁界分布は抵抗性拡散によって変化していく。RFPの配位形成後,トロイダル磁界は全領域で反転するに従って、プラズマ系全体が不安定になり、ポロイダル磁界も急激に反転する現象が見つかった。これにより、形成された配位は反転STとなっていることがわかった。 2)STプラズマへのCT入射実験を開始する準備を完了した。準備内容として、1)CT入射装置の長パルス運転化、2)平均電子密度測定のための炭酸ガスレーザー干渉計の改良、などを行った。この実験で、入射するヘリシティの極性により、プラズマ電流の増幅、減衰が予想され、ヘリシティの保存性を検証する。それにより、新しくSTプラズマへの非軸対称なヘリシティ入射による電流駆動の応用が期待できる。
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