研究概要 |
本研究対象の電池は,電力貯蔵や電気自動車用動力源を目的としたもので,ナトリウムを負極活物質,ベータアルミナ固体電解質を隔膜,塩化アルミニウム・塩化ナトリウム混合溶融塩と塩化硫黄(IV)を正極活物質とする電池である。 本年度は,この電池の分極現象を調べるために3種類の実験セルを考案し組み立てた。タイプAは,ベータアルミナ円板を0リングで固定し,片側にナトリウム,他方にメルト(正極活物質)を入れるタイプのセルで,組立てや解体が比較的簡単であり,系統的に条件を変えて分極を調べたり,実験後のベータアルミナの検査をするのに適している。タイプBは試験管型のベータアルミナと0リングシールを組み合わせ,外部参照電極としてナトリウム電極を設けたセルで,隔膜のナトリウム側とメルト側の分極を別々に測定することができる。タイプCは,ベータアルミナ管をガラスで封着した完全密閉型のセルで,電池としての充電・放電特性の試験に適している。 上記3種類の実験セルを用いて定電流で充電・放電特性を調べたところ,次のような結果が得られた。(1)充電がある程度進むと分極が現れる。(2)この分極はベータアルミナと溶融塩の界面に起因する。(3)充電後の放電初期に電池電圧が時間とともに回復する現象がみられ,この変化もベータアルミナと溶融塩の界面に起因する。このような分極が生じるメカニズムはまだ不明であるが,界面のACインピーダンスから1つの手掛かりが得られる可能性があるので,その実験を準備中である。
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